これは“神狩番外・蒼”の御伽草子
機械仕掛けの騎士 第一話 出会い
それは管理局を震撼させたJS事件直後の機動六課に出された休暇が終盤に差し掛かった所でした。
私、八神はやては今は亮君の家になった元八神邸へ、八神家の皆で泊まりに来てました。
なのはちゃんはユーノ君(無理矢理リンディさんが休みをもぎ取った)とヴィヴィオ、
恭也さんとアインを連れて実家へと帰り、フェイトちゃんもアリシアちゃ
んと実家に帰ってます。
そして今、私は駅前でナンパされているところやったりするんや。
「ねぇ、俺達と遊びに行こうよ」
「さっきから黙ってどうしたんだよ」
正直言ってウザッたらしいねん!!
「用事があるんで……」
私はムカつきながら丁寧に断ってみますが相手はそんなこと気にせずに誘ってきます。
「別に大した用事じゃないんでしょ? それより俺達と遊ぼうぜ」
「そうだよ、そうだよ」
シツコク誘ってくるこのナンパ野郎二人に殺意を覚え始めた時、私達に声を掛けてくる人が居ました。
「そろそろ辞めといた方が良いと思うよ。 これ以上は彼女に悪印象だからね」
声を掛けて来たのは髪の長い綺麗な女性でした。
「なら、アンタが遊んでくれるのか?」
ナンパ野郎二人のうち野蛮そうな方(以後、ナンパさん一号に勝手に命名)
が彼女の肩に手を置きながらニヤニヤした。
肩に手を乗せられた女性は嫌な顔をせずに何でもない風に彼の手首を握り、
「私には男に尻を振るような趣味は無いね。
まあ、格闘ゲームのお誘いなら承けるが…… 仮想的にせよ、現実的にせよ、な……」
そのまま握った手首を前へ引っ張り、ナンパさん一号を一本背よいの要領で投げ飛ばします。
投げ飛ばされたナンパさん一号はもう一人のナンパさん……
ナンパさん二号を巻き込んで派手に飛ばされます。
周りの人達もあまりの騒ぎに集まって来てちょっとした人だかりが出来ました。
飛ばされたナンパ野郎二人は立ち上がりながら毒づきます。
「なにやりあがってんだよこのアマ!!」
「もう、痛いじゃないか」
二人を冷ややかな目で見ながら彼女は私の方へやって来ます。
彼女が背を向けた事で彼等が彼女に殴り掛かろうとして私は知らないうちに声を発してました。
「危ない!!」
「野蛮な人達だな。 “神狩”の者に手を出すとは…… 命しらずな」
彼女は呆れた様子で拳を振り被ったナンパさん一号の鳩尾らへんに振り向きざまの肩から当て身をし、
右腕にタメて置いた掌ていを捻りを加えて顎を下から殴り上げた。
ナンパさんは力無くその場に倒れ込みました。
多分あれは脳震盪をおこしたんやろう。
それを見ていた優男風のナンパさん二号は唖然とし、倒れたナンパさん一号を肩に担いで逃げていきました。
―――意外と力持ちやな。
私が場違いな事を考えてたら助けてくれた女の人が近づいて来ます。
「大丈夫だったかい? 怪我とかないかい?」
「大丈夫です、ありがとうございます」
「そうかい、なら良かったよ。 じゃあ、私はこれで……」
「ちょっと待ってください」
私はそのまま立ち去ろうとした彼女を止めました。
彼女は首を傾げます。
「折角助けて貰ったのに御礼せんのは気が引けます。 なんか御礼さして下さい」
「えぇ〜〜っと、別に私は大した事してないよ。 だから、気にしなくても」
「それやったら私の気が収まらんのです」
私は少し起こり気味に言ってみました。
多分、この人はフェイトちゃんと同じで少し押しに弱そうだと思ったからや。
彼女が少しだけ困った顔で言いました。
「じゃあ、道案内頼めるかな? 初めてこの海鳴に来たから道が分からなくてね」
「ええですよ、目的地は何処なんです?」
彼女が思い出す様に明後日の方へ視線を向けます。
「えっと、喫茶店翠屋。 シュークリームが美味しいお店なんだけど……」
「知ってますよ、これから友達と行くところですから」
「そうなんだ、よかったよ。 けど、行き先が一緒だなんて面白いね」
彼女が微笑んだ。
「私は八神はやてって言います、貴方は?」
「自己紹介はまだだったね、私は八剣諭騎。 宜しくね」
これが私達の始まりでした。
あとがき
えぇ〜はやてのアンケートSSを書いていてもネタが思いつきませんでした。
ですから、狂気の遺産終了後に連載する予定の今作を引っ張り出してきました。
まだ、狂気の遺産が終わってないので余り更新できません。
ネタバレになるので……
地道に更新していきます。